アプリケーションノート - 高電圧電源

電電源装置の極性変更方法について。

AN-08

高圧電源装置では大抵、所望の高圧出力を得るため、電圧マルチプライヤと呼ばれる回路を使用します。この基本的なマルチプライヤ回路を、電源装置ブロック・ダイヤグラムの形で簡略化したものが以下の図です。

マルチプライヤ回路は、コンデンサとダイオードの配列で構成されます。ダイオードの方向性によって、ユニットの出力極性が決まります。上記の例の場合、図中のダイオードは接地に対し正の出力極性を生み出します。各ダイオードの方向を反転すると、マルチプライヤは接地に対し負の出力電圧を発生することになります。

上記の例では、2ステージの半波長マルチプライヤを示している程度で、合計4個のダイオードを使用しています。全波マルチプライヤのステージはさらに効率が高く、使用するコンデンサの数が増え、ダイオードの数は2倍となります。Spellmanの装置の典型的な高電圧の発生には、多数のマルチプライヤ・ステージが直列接続されます。12ステージの全波マルチプライヤを製造するとすれば、合計48個のダイオードが必要になります。

概して、マルチプライヤ・アセンブリの製造に使用されるコンデンサとダイオードは、単一の、また場合によっては複数のプリント回路基板へ直接ハンダ付けされます。このアセンブリは大抵、高圧を分離する目的で封入されます。

極性を反転するプロセスを簡略化するため(SLシリーズの例など)、8 kVを超えるもので可逆性が求められる場合、第2の「異極性」マルチプライヤが提供されます。マルチプライヤの交換は簡単で、スクリュードライバ1本と数分程度の作業時間を要するだけです。モジュラー型ユニットは、設計が簡素化されていることから、一般的には現場で極性を変更できません。