アプリケーションノート - 高電圧電源

「いいえ、触れてください」 HVPSの出力下降と放電時間について。

AN-05

高圧電源装置を扱う際は、出力下降と放電時間を理解しておくと役立つことがあります。この情報は、単に電源装置の機能性に関する付加的詳細を提供するものという程度にとどめてください。このアプリケーション・ノート自体は、HVPSの適正なセットアップおよび使用のための十分な「安全訓練」となるものではありません。弊社製品に添付の完全版の安全情報を参照ください。

概して、高電圧は、電圧マルチプライヤ回路に接続された昇圧器に給電するインバータを制御することによって生み出されます。このマルチプライヤ回路(コンデンサとダイオードの配列)ではAC電圧の交流半周期におけるコンデンサの充電および放電の原理を利用し、ここでの出力はこれらのコンデンサの直列電圧の合計に相当します。当然、電圧増倍回路は本質的に容量性であり、電荷を保存および保持する能力があります。

効率化のため、接地へ向かう内部電流の流路は最小化されます。一般的に、装置の出力を接地へ接続する唯一の抵抗性流路は、高インピーダンス電圧フィードバック・デバイダ系統です。このフィードバック・デバイダは、装置の制御および調整に用いられる低レベル、接地基準の電圧フィードバック信号を生成します。

マルチプライヤ・アセンブリ内のダイオードには方向性があるため、正極性の装置は電流の供給のみ可能で、電流をシンクする能力はありません。従って、フィードバック・デバイダ系統が、「無負荷」条件における出力の唯一の放電流路となります。典型的なユニットのマルチプライヤ・キャパシタンスとフィードバック・デバイダの抵抗の値に注目し、弊社が説明する無負荷RC放電時間定数の種類について検討してみましょう。

SL60P300

0-60 kV、0-5 mA、300ワット

マルチプライヤのコンデンサ(C)= 2285 pF

フィードバック抵抗(R)= 1400 MΩ

RC = (2285 pF) (1400MΩ) = 3.100秒

ゼロに達するにはRC時間定数5が必要(~ 1.2%)

(5) (3.199秒) = 15.995秒

上記の例は、無負荷条件下での出力の放電に、いかに相当な時間を要するか例証するものです。外部負荷が装置の出力に接続されたままであれば、放電時間定数は大幅に短縮可能です。こうした理由から、HVPS下降時間は「負荷依存的」と呼ばれます。次にHVPSを扱う際は、この点を念頭に置いてください。