アプリケーションノート - 高電圧電源

高圧電源の簡易電圧モード/電流モードテスト

AN-22

問題

高電圧電源の適切かつ完全なテストには、安全性を重視した特殊なスキルと機器が必要です。「疑わしい」高電圧電源を使用しているお客様から、問題のユニットの動作能力を簡単にテストする方法についてよく質問をされます。次の手順では、電源が基本機能を備えているかどうかを確認するために、迅速かつ限定的な簡易試験を提供できます。特別な装置は必要ありませんが、適切な高電圧についての安全技術が必要です。

安全に関する警告:

高電圧電源は危険であり、致命的な結果を招く可能性があります。電源装置のマニュアルおよびウェブサイトに記載されているすべての安全に関する情報を活用してください。もしこれらのテストを行うための技術と高電圧安全に関する資格がない場合は、これらのテストを行わないでください。ご不明な場合は、スペルマンで評価をいたしますので、事前にご連絡いただいた上で、電源装置をご返送ください。お客様の安全を守るのはお客様ご自身です。安全性のテストについて少しでもご不明な点がある場合は、決してご自分でテストを行なわず、評価のためスペルマンに電源をご返却ください。

コンセプト

スペルマンの全ての高電圧電源には、電圧と電流のプログラミング機能があり、電圧源としても電流源としても機能します。スペルマンの電源装置は電圧源として使用される場合がほとんどです。電流プログラミングを最大に設定し、電源の出力電圧を調整して制御します。しかし、ユニットを電流源として使用することも可能です。電圧を最大に設定し、電源の出力電流を調整して制御します。我々は、電圧モードと電流モードの機能を特別な技術や機器なしで簡単に確認することができます。これは単なる初歩的なテストですが、疑わしい電源の基本機能を判断するのに役立ちます。

電圧モード

電圧モードで機能する電源の能力をテストするため、電源を「開回路」にします。無負荷テストとも呼びます。正常に機能する高電圧電源は、開放負荷状態で、定格出力電圧を出力することができなければなりません。これらを説明するために、電源はフル機能ラックマウントのユニットであると仮定します。これらの説明はモジュールユニットにも該当しますが、プログラミングおよびフィードバック信号を測定し確認する必要があります。

取扱説明書に記載されているように、電源が入力電源に正しく接続され、接地されていることを確認してください。電源装置の電源がオフになっていることを確認し、残りの電荷が消えるまで5分間待ってから、電源装置から高電圧出力ケーブルを取り外します。

電源に入力電源を印加します。電源をスタンバイ(HV OFF)にします。電流プログラミングを最大に調整し、電圧プログラミングを最小に調整します。電源をHV ONにします。ゆっくりと電圧プログラミングを上げてください。該当する出力電圧は、フロントパネル電圧メーターに表示されます。ユニットが電圧モードで動作していることを示すフォルト診断パネルに「VOLTAGE」と表示されます。出力電圧を最大値に設定してください。フル出力電圧を開放負荷にしても電源には問題はありません。<

電源をスタンバイ(HV OFF)にします。電源から入力電源を切断し、残留電荷が減衰するまで5分間待ちます。

電流モード

電流モードで機能する電源の能力をテストするために、電源を「短絡」にします。正常に機能する高電圧電源は、短絡負荷状態で定格出力電流を出力することができなければなりません。

前のテストで取り外された高電圧出力ケーブルを使用します。これは安全のために重要なことですが、高電圧ケーブルの負荷端(終端されていない)を電源のリアパネルのグラウンドスタッドに接続する必要があります。これが行われた後にだけ、高電圧ケーブルの終端を高電圧電源のリアパネルに挿入することができます。これにより電源装置の出力が安全にグラウンドに接続された事になります。

電源に入力電源を印加します。電源をスタンバイ(HV OFF)にします。電圧プログラミングを最大に調整し、電流プログラミングを最小に調整します。電源をHV ONにします。ゆっくりと電流プログラミングを上げてください。該当する出力電流は、フロントパネル電流メーターに表示されます。ユニットが電流モードで動作していることを示すフォルト診断パネルに「CURRENT」と表示されます。出力電流を最大値に設定してください。短絡負荷状態でフル出力電流にしても問題はありません。

電源をHV OFFにしてください。電源から入力電源を切断し、残留電荷が減衰するまで5分間待ちます。高電圧ケーブルの終端側を電源装置から外します。次に、高電圧ケーブルの負荷端(終端されていない)をリアパネルのアーススタッドから外します。

概要

これら2つのテストは、電圧ループ(プログラミングおよびフィードバック回路)が機能しており、電流ループ(プログラミングおよびフィードバック回路)が機能していることを示しています。ユニットを開回路と短絡回路で動作させたため、電源装置の能力を実際にテストしませんでした。しかしこれらの2つの簡単なテストで、電源に基本的な機能がいくつか備わっており、適切な電圧と電流のプログラミングとフィードバック機能があることを確認できます。