アプリケーションノート - 高電圧電源

「接地は接地」そうですか?必ずしもそうとは限りません。知っておくべきことについて。

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接地は、エンジニアリング・スクールで語られる「理想的なスイッチ」のような「理想的な」ものの1つです。理想的なスイッチは優れた特徴(無損失、ゼロ切換時間、など)をすべて兼ね備え、悪い特徴は全くありません。実際、接地はお客様が行うことで初めて優れたものとなり、またお客様が正しく処理して初めて、その完全性が保たれます。

良好な接地システムを白紙の状態から創出することから始める方が、悪いシステムを直そうと試みるよりはるかに容易です。接地の問題を分離、分析、解決することは困難なこともあります。お客様の高圧電源装置と他のシステムを共に改善するための、優れた接地システムを創出するヒントをいくつか紹介します。

接地システムは、何らかの形でお客様が接地基準ポイントとして使用するものが出発点です。利用可能なものの例として、冷水配管、配電導管、配電接地線、建物の鋼桁枠、あるいは旧式の接地棒などが挙げられます。どれを使うにせよ、短くゲージの太い線と適切なラグを用いて、このポイントをHVPSの接地スタッドへ接続します。接地は普遍的な基準点であり、この方法でHVPSを接地と連結することによって、良好な基準点が生み出されます。

次に重要となる必要な接地接続が、負荷の戻りです。HVPSから発生する電流はいずれも(連続定格電流あるいは過渡アーク電流)、電源装置へ戻る流路がなければなりません。この流路は実際の物理的な線とすべきで、この場合もやはり、短くゲージの太いものが望ましいです。この接続により、大量の過渡アーク電流は周知の流路を移動し、他の接地基準型機器に影響を及ぼすことはありません。

明確にしておく点を1つあげると、AC電源コードの「3番目の緑色の接地線」は、適切なシステム接地ではありません。この線は安全接地ではあっても、接地システムの一部として使用されることを意図しないものです。洗濯機のシャーシは、金属製が一般的です。もしAC電源コードが内部に飛び出してシャーシに触れていたとすれば、カバーを開けて感電したくはないでしょう。この場合、「3番目の線」はシャーシを接地し、電流をアースへ迂回させることで感電を防止します。それがこの線の機能であり、単なる冗長安全接地に過ぎません。この接続を、お客様のシステムの接地スキームの一部として信頼してはいけません。

付加的なシステムの接地基準はすべて、高圧電源装置の主接地ポイントへ接続してください。これが電源装置の主接地ポイントへ接続される、「スター」の接地システムあるいは接地フレーム/面システムとなることが望ましいです。これらの提言に従うことが、適切に機能する接地システムを作り出す一助となります。