アプリケーションノート - 高電圧電源
可能な限り短く。高圧電源ケーブルの長さについての説明。
AN-19
ほとんどのスペルマンの高圧電源装置は、高圧電源の出力とお客様の「負荷」を接続するいくつかのタイプのケーブルを使用しています。同軸ケーブルは、その接地シールドのために固有の安全保護を備え、加えて、ノイズ抑制、ロードに適した接地経路を備えています。
しかし同軸ケーブルは出力にかかる静電容量を増やします。使用される特定の種類の同軸ケーブルによっては、静電容量は高圧電源ケーブルの長さ1フィートにつき、30pFかそれ以上になることがあります。非常に高圧なスペルマンの電源装置の場合は、わずかの静電容量で大容量のエネルギーが蓄積されます。コンデンサに蓄えられるエネルギーは次のように算出されます。
蓄積エネルギー(ジュール)=½ CV²
Cは静電容量、Vは印加電圧
電圧項が二乗されるために、
少しの静電容量が大きな蓄積エネルギーになることが容易に判ります。高圧電源ケーブルは、電源装置の出力容量より多くのエネルギーを蓄えることが出来る場合があります。
このケーブルの静電容量は、電源の外部静電容量として見られます。電源は充電をし、この静電容量を駆動しなければなりません。場合によっては、これが問題を引き起こす可能性があります。しかし、問題の本質は、アーク放電が起こった時にどのようなことが起こるのかということです。このケーブルの静電容量の位置のため、蓄積エネルギーを散逸するエネルギー源に直列な負荷抵抗はありません。電源の出力にはアーク電流制限抵抗器が組み込まれており、安全を保てるレベルにアーク電流放電マグニチュードを制限しています。ケーブルの静電容量にはそのような制限機能はありませんので、アーク放電中に電流が過剰になり、エネルギーが電圧の循環“リンギング”を起こし、ケーブル、電源にダメージを与える原因となります。最終的に、エネルギーはアークインピーダンスや他の散逸要素により消散されますが、とても高圧のリンギング発生後のみです。これは壊れやすい顧客負荷に対して影響を及ぼし、不適切に接地されている機器に大変な損害を与えます。
これらの理由により、高圧電源ケーブルをできるだけ短くすることが良い方法であると考えられます。では、電源に長いケーブルは使用できないのでしょうか?いいえ、使用できます。しかし全て設定が同じであれば、短い高圧電源ケーブルの方が長い高圧電源ケーブルより問題が起こりにくいと考えられます。