アプリケーションノート - 高電圧電源
カレント ループ / アーク検出回路
AN-18
カレント フィードバック / カレント ループ
カレント フィードバックとカレント制御ループはスペルマンの電源のアーク検出方法には全く関わりがありません。過電流は長い時間に渡り低インピーダンス状態が続くフォルトで、長期間に渡って続くことがあります。スペルマンの電源はこの状態をカレント フィードバックを通し検知し、定電圧モードから定電流モードに切り替えることで、直流電流を電流プログラミング入力信号の通りのレベルに制御します。カレント フィードバック回路と電流エラー アンプの時定数は、通常数ミリ秒か数十ミリ秒あるため、アークが起こったかを測定するのにカレント フィードバックは使用されません。カレント フィードバックはカレント ループの通りに長い時間に渡り直流電流を制御するためのみに使用されます。
アーク特性
アークは瞬間的に発生し非常に低インピーダンスで、数マイクロ秒から数十、数百マイクロ秒しか存在しないという性質を持っています。アークは電源にとっては、基本的には容量放電という事象です。電源は電荷を蓄えたコンデンサー(電力が内部のマルチプライヤーが持つ容量に蓄えられます。)と電源の出力が非常に低インピーダンスとなった状態にあります。唯一電流が流れることを制限するのは内部シリーズ制限アッセンブリ(通常は抵抗とインダクター両方またはいずれか)です。何らかの制限が用いられない場合、理論的には無限の電流がアーク中に流れることになります。しかし、内部制限レジスターが電流を安全な放電レベルにまで制限します。アーク放電の際、定格が数ミリアンペアの高圧電源に数アンペアから数十アンペアを超える電流が継続的に流れることがあります。これは通常の定格電源電流ではなく、容量性アーク放電電流です。これらは全く異なる性質のものです。
電流検知トランス
アーク中に流れる電流が高速且つ大量であることから、スペルマンはアークの発生を検知するのに異なった方法を使っています。それが電流検知トランスです。電流検知トランスはマルチプライヤー回路の終端部に接続されます。電源の定格である通常の低レベルの直流電流は電流検知トランスで検知されません。大電流レベルでマイクロ秒単位のアークが発生したときのみ検知します。これを利用してアークの発生を検知しています。
アーク保護プロセス
アーク保護プロセスについても説明しなければなりません。なぜならマルチプライヤーキャパシタンスに蓄えられるエネルギーがなんであるにせよ、出力制限アッセンブリに熱として放散されるからです。個々のアークは電源に損傷を与えることはないかもしれませんが、繰り返し長期間に渡って起こるアークは出力制限回路をオーバーヒートさせてしまう可能性があります。一定期間にオーバーヒートを起こさず電源が耐えられるアークには限りがあります。私たちのアーク保護プロセスは電源の損傷を防ぎます。「アーク」自体を変えることはできません。スペルマンは電源を保護するに十分な検知精度で、且つ通常の使用に支障がないレベルの検知精度の設定を行っています。
スペルマンのアーク回路がやらないこと
スペルマンのアーク検知性能とアーク保護プロセスは、電源を過度に長いアークから保護しますが、ユーザーが設定可能な正確で無限の調整できるような回路ではありません。もし正確で調整可能なアーク検知が必要な場合、スペルマンはユーザーが実装する外部電流検知トランスで行うことを推奨します。こうすることで電源が必要とするアーク保護自体に影響を与えることなく、ユーザーは外部アーク検知トランスを希望の通りに設定することができます。